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必要に応じて、専門的なケアにつなげることも


身近な大切な人を亡くしたとき、遺族は「グリーフ(喪失による悲嘆)」と呼ばれる状態に陥ります。このときには精神的・身体的にさまざまな反応が起こります(下図参照)。
グリーフの状態にあるご家族の元を訪問し、遺族が精神的・身体的に回復されるように支援するのがグリーフケアです。

当クリニックでは、グリーフケアとして亡くなった当日にお伺いすることもありますし、後日にあらためて伺うこともあります。訪問の時期や回数はご家族の状況に応じて調整します。
遺族の方を訪問したときに行うのは、ご家族の看取りをしたあとの今の思いをしっかりと傾聴すること。そして在宅医療チームと故人との関わりのエピソードをお話しするなど、故人の思い出を一緒に偲ぶということです。
「昨年の今頃はまだお元気で、私たちが訪問したときにご主人が庭木の柿をとってくれましたね」「玄関に飾ってある珍しい石について質問すると、すごくうれしそうにお話ししてくれましたよ」など、何気ない日常の1コマをお話しするだけでも、亡くなった人を思うことになり、ご家族も喜ばれます。
こうした傾聴や思い出話などを繰り返すことで、ご家族は次第に別れの悲しみを受け止められるようになり、徐々に気持ちや生活を立て直していけるようになります。
実は看取りの前の段階から、ご家族の関係性や、ご家族の個々の性格、心身の状態などから、十分なグリーフケアが必要と思われるご家族がわかることもよくあります。そうした場合、在宅医療チームでも注意しておいて死別後に十分なグリーフケアを行います。
さらにうつ症状などで専門的な治療が必要と判断したときは、精神科の専門医や自治体の専門機関などにつなげることもあります。

引用元

『事例でわかる!家族のための「在宅医療」読本』 著者:内田貞輔(医療法人社団貞栄会 理事長)
発売日:2021年6月1日
出版社:幻冬舎