介護施設で感染症と向き合うために_医療と介護がともにつくる守りの仕組み
はじめに
介護施設での感染症は、いつ起こっても不思議ではありません。
しかし実際に流行が起きると、想像以上の混乱が押し寄せます。職員や入居者の体調変化が次々と起こり、日常業務が一気に追いつかなくなることもあります。
2025年11月19日に行われた講演にて、医療と介護が力を合わせて感染症と向き合った経験から、一般の方にも知っておいてほしい「備えの大切さ」が語られました。
しかし実際に流行が起きると、想像以上の混乱が押し寄せます。職員や入居者の体調変化が次々と起こり、日常業務が一気に追いつかなくなることもあります。
2025年11月19日に行われた講演にて、医療と介護が力を合わせて感染症と向き合った経験から、一般の方にも知っておいてほしい「備えの大切さ」が語られました。
感染症流行時、現場では何が起きていたのか
感染症が流行すると、まず起こるのは"人手不足”です。職員が次々と発熱し、出勤できなくなる一方、入居者にも症状が広がっていきます。普段通りの支援ができないまま、対応に追われる日々が続きました。
また、発熱した入居者を緊急搬送しようとしても、救急車の到着までに10時間以上かかることもありました。「すぐに診てもらう」という当たり前が成り立たない状況は、現場に大きな不安をもたらしました。
さらに、面会制限が長期化し、家族と会えないことで認知症が進行してしまうケースも。"感染症のリスク”だけでなく、"人が生きるうえでの大切な要素”にも影響が出ていたのです。
また、発熱した入居者を緊急搬送しようとしても、救急車の到着までに10時間以上かかることもありました。「すぐに診てもらう」という当たり前が成り立たない状況は、現場に大きな不安をもたらしました。
さらに、面会制限が長期化し、家族と会えないことで認知症が進行してしまうケースも。"感染症のリスク”だけでなく、"人が生きるうえでの大切な要素”にも影響が出ていたのです。
守りの鍵は"日頃からのつながり”
こうした状況でも乗り越えられたのは、日頃から医療と介護がつながっていたからこそでした。
医師や看護師が施設の様子を把握していることで、緊急時に素早く動き、必要な判断を下すことができます。また、施設側も「こんな時はどうしたらいい?」と気軽に相談できる関係があると、不安が大きく軽減されます。
つまり、感染症対策は"準備しておく書類”よりも、普段のコミュニケーションが最大の力になるということです。困ったときにすぐ連絡が取れ、信頼して相談できる相手がいる_そのつながりが、いざという時に施設を守ります。
医師や看護師が施設の様子を把握していることで、緊急時に素早く動き、必要な判断を下すことができます。また、施設側も「こんな時はどうしたらいい?」と気軽に相談できる関係があると、不安が大きく軽減されます。
つまり、感染症対策は"準備しておく書類”よりも、普段のコミュニケーションが最大の力になるということです。困ったときにすぐ連絡が取れ、信頼して相談できる相手がいる_そのつながりが、いざという時に施設を守ります。
感染を広げないために本当に大切だったこと
感染を広げないための対策は、実は特別なことばかりではありません。
これらの"基本の徹底”が、最も効果を発揮しました。
実際、こうしたシンプルな対策を確実に行えるかどうかが、感染拡大を防ぐ大きな分かれ目となったのです。
一方で、流行中はさまざまな情報が飛び交い、何が正しいのか判断しにくい場面もありました。だからこそ、医療の専門家とつながって最新の知見を確認できる関係性は、現場の安心感につながります。
- 区域を分けて動線を整理する
- 手袋・マスク・防護服などの物品を適切に使う
- 手洗いを丁寧に行う
- 着替えや防護服の着脱を正しい手順で行う
これらの"基本の徹底”が、最も効果を発揮しました。
実際、こうしたシンプルな対策を確実に行えるかどうかが、感染拡大を防ぐ大きな分かれ目となったのです。
一方で、流行中はさまざまな情報が飛び交い、何が正しいのか判断しにくい場面もありました。だからこそ、医療の専門家とつながって最新の知見を確認できる関係性は、現場の安心感につながります。
感染症が教えてくれた「暮らしを守る視点」
感染症対策は「病気を防ぐこと」だけが目的ではありません。
実は、暮らしそのものを守ることが大切です。
隔離が長引くと体力が落ちたり、認知症が進んでしまったり、「その人らしい生活」が損なわれることがあります。講演では、感染を防ぐことと同じくらい、生活の質をどう維持するかも重要だと強調されていました。
職員が少ない中でも、できる限り普段の生活を保つ工夫を続けたことは、入居者の心の支えになったといいます。
実は、暮らしそのものを守ることが大切です。
隔離が長引くと体力が落ちたり、認知症が進んでしまったり、「その人らしい生活」が損なわれることがあります。講演では、感染を防ぐことと同じくらい、生活の質をどう維持するかも重要だと強調されていました。
職員が少ない中でも、できる限り普段の生活を保つ工夫を続けたことは、入居者の心の支えになったといいます。
次の感染症に備えて
「完璧な対策」は存在しません。
ですが、次のような準備があるだけで、現場の負担は大きく減ります。
これらは、決して難しい取り組みではありません。
むしろ、普段から少しずつ積み重ねることで、いざというときの「守りの強さ」につながります。
ですが、次のような準備があるだけで、現場の負担は大きく減ります。
- 日頃から医療と介護が連絡を取り合っておく
- 感染が疑われた時に、すぐ動ける手順を共有しておく
- 基本的な感染対策を、職員全員が同じレベルで実践できるようにしておく
- 情報の真偽を判断できる"相談先”を持っておく
- デジタルツールで記録・連絡を整えておく
これらは、決して難しい取り組みではありません。
むしろ、普段から少しずつ積み重ねることで、いざというときの「守りの強さ」につながります。
おわりに
感染症との向き合い方は、医療や介護だけの問題ではなく、「暮らしをどう守るか」という私たち共通のテーマです。
医療と介護が手を取り合い、日頃から信頼関係を築いておくことで、緊急時の負担は大幅に軽くなります。
これからも、地域全体で支え合いながら、大切な人の生活を守っていける社会を目指していきたい_講演はそんな想いで締めくくられました。
医療と介護が手を取り合い、日頃から信頼関係を築いておくことで、緊急時の負担は大幅に軽くなります。
これからも、地域全体で支え合いながら、大切な人の生活を守っていける社会を目指していきたい_講演はそんな想いで締めくくられました。
※本コラムは2025年11月19日に行われた講演「感染症におけるBCP(事業継続計画)」をもとに、コラム用に加筆・修正いたしました。

